研究概要 |
電子商取引の成立条件をセキュリティ、プライバシー、コスト、利便性の4要素であると仮定し、電子政府サービスの普及には法制度としてのプライバシー保護策が必要であることを生産可能性フロンティアの拡大という形で論証する論文などをまとめ、それぞれ学術雑誌等において発表した。 A05柱の関係者が中心的な役割を果たして2003年1月末にアメリカ合衆国フロリダ州オーランドにて開催される国際会議"International Symposium on Applications and the Internet Workshops-SAINT 2003"において、フランス国立のテレコム研究所にあたるRESFIN Lab.Institut Nat.des TelecommunicationsのJean-Michel Sahut教授との共同でWorkshop 3: E-businessをオーガナイズした。 Workshop3のSession 1: New Trends and Conditions of E-businessにおいてはE-Business Security, Pricing and Price Dispersion in e-commerce, Intelligent Agent Stakes for E-Commerceなどの論点に関して各国の研究者から報告の申し込みを受け付け、共同オーガナイザの査読を経て5件の発表を得た。 Session 2: E-business Regulations/User Protection and ConfidenceではSession Chairを担当し、電子通貨の成立可能性と中央銀行によるコントロール可能性などの論点を各国の研究者との間で議論した。 Session 3: Panel Discussion : E-business New Trends and Possibility of New Restrictionsではパネリストとして参加し、これまで技術的な発表が中心であったSAINT会議において、制度的側面に関する国際的に意見を交換するWorkshopとして制度研究者と情報技術者が対話する機会を提供した。柱間の連携研究のほかに、国際共同研究として経済協力開発機構OECDで電子商取引の法制度整備に関する研究を推進している担当官との協力関係を構築した。2002年11月にはOECDパリ本部を訪問し、電子商取引における個人情報保護など消費者法制に関する政策担当者、電子商取引などのセキュリティポリシーに関するOECD勧告の立案担当者、アフリカなどの発展途上国における電子商取引の普及に関する政策担当者らとの間で、電子商取引の制度設計についての意見交換の機会を得た。 国内においては、電子情報通信学会による高等教育機関におけるネットワーク運用ガイドライン制定作業に参加し、成果は文部科学省およびIT戦略本部に報告され、同学会会長より感謝状を授与された。
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