研究概要 |
平成14年度より本特定領域研究「感染と宿主応答」への参加が認められ「誘導型アンチセンスRNAによるカンジダ酵母のフェノムプロジェクト」をスタートさせた.カンジダは化学療法により治療中の患者や臓器移植を受けた患者並びに,エイズ患者等,免疫機能の低下した患者に対して重篤な深在性カンジダ症を起こす真菌であり,患者数は年々増加している.カンジダはヒトと同じ真核生物であるため副作用の低い抗真菌薬の開発が難しく,有効な抗真菌薬の種類が少ない.現在アゾール系抗真菌薬を中心に処方されているが,近年アゾール系抗真菌薬耐性株の報告が増え,新薬の開発並びに病原性の解明は急務である.カンジダ症の主な原因菌はCandida albicansであり,ゲノムシークエンスは既に公開されているが(htt://www-sequence.stanford.edu:8080/),不完全なので代表者はC.albicansのでゲノムシークエンスを完成させるための研究を行っている.またこのゲノム情報を活用し,病原因子並びに抗真菌薬の標的遺伝子の探索を網羅的に行なうために現在誘導型アンチセンスRNAを備えた組換え体構築に向けてベクター及び宿主株の開発を行っている.2001年にはベクター及び宿主株の構築に用いる遺伝学的マーカーの作製(Beckerman et al.2001),ゲノムシークエンス査定のためにゲノム物理地図の作製(Chibana et al.2001)並びに病原因子の1つとして可能性があるCGR1のスクリーニングを行った(Cho et al.2001).
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