研究課題/領域番号 |
14021025
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
俣野 哲朗 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00270653)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2002年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | エイズワクチン / DNAワクチン / センダイウイルス / SIV / 細胞性免疫 / CTL / 慢性感染症 / エスケープ |
研究概要 |
HIV-1感染抑制においては宿主細胞性免疫が重要な役割を担っている。近年、我々を含めた数グループが、各々優れた細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導型DNAプライム・ウイルスベクターブーストワクチンを開発し、サル急性エイズモデルにおける発症防御に初めて成功した。これらの手法はエイズワクチンとして非常に有望であるが、この感染初期の防御効果がヒトにおけるエイズ発症阻止効果をどの程度反映しているかについては未知数である。そこで本研究では、CTL誘導型ワクチンによる感染初期の防御効果が、慢性感染症としてのエイズ発症阻止にどの程度つながるかを知ることを目的とし、我々の開発したワクチン接種サルのサル免疫不全ウイルス(SIV)チャレンジ後の長期解析をおこなうこととした。プライムブーストワクチン接種サルについては、SIVチャレンジを開始したところであるが、それより先行しておこなったDNAワクチンのみ接種群のチャレンジ実験について以下の結果が得られた。SIVチャレンジ後、対照群の2頭がエイズ症状を呈して1年以内に死亡したのに対し、DNAワクチン接種群の3頭は顕著に低いウイルス量を示し1年以上健在であった。しかし、その後2頭がエイズを発症した。この2頭では、SIV増殖抑制の破綻とともにSIV特異的CD4陽性Tリンパ球が失われたが、SIV特異的CD8陽性Tリンパ球は維持されていた。このうち1頭については、サルのMHC-Iとして唯一解析が進んでいるMamu-A*01を有しており、dominantなGag CM9特異的CD8陽性Tリンパ球が感染末期まで維持されていたにもかかわらず、塩基配列の解析ではエピトープ領域の変異がないことが明らかとなった。この結果から、慢性期におけるSIV増殖抑制破綻において、CTLエスケープ変異ウイルスの出現によらない新たなメカニズムが示唆された。
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