研究課題/領域番号 |
14021057
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松浦 善治 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (50157252)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2002年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | HCV / 感染機構 / リセプター / シュードタイプウイルス / 細胞融合 |
研究概要 |
C型肝炎は今や我が国の国民病であり、キャリヤーの発症予防やウイルスの積極的な排除法の確立が強く望まれている。我々はこれまでに、細胞培養系のないC型肝炎ウイルス(HCV)の感染の初期過程を解析するため、HCVのエンベロープ蛋白質を粒子表面に被ったシュードタイプウイルス及びレポーター遺伝子の活性を指標とする高感度な細胞融合検出系を構築した。これらのアッセイ系により、HCVは蛋白リセプターを介したエンドサイトーシスによって細胞内へ侵入し、それには二つのエンベロープ蛋白質が必須であることを明らかにした。また、これまでHCVのリセプターではないかと考えられていたCD81以外の蛋白リセプターの存在が示唆された。本研究は、これらのアッセイ系を用いて感染の第一段階である肝細胞への吸着に関与する細胞膜受容体とその遺伝子を解明し、HCV感染の初期過程を分子レベルで明らかにすることを目的とする。 本年度は、シュードタイプウイルスのHepG2細胞への感染様式を詳細に検討し、以下の成績を得た。 1.HCVシュードタイプウイルスのHepG2細胞への吸着はヘパリンによって阻害されたが、逆に感染は増強されることが明らかとなった。このことはHCVシュードタイプウイルスの吸着には硫酸多糖類が重要であるため、ヘパリン添加によって結合阻害が観察されるが、それ以降の膜融合や侵入過程でHCVシュードタイプウイルスのエンベロープ蛋白質の活性発現をヘパリンが増強している可能性が示唆される。 2.ヘパリン処理で感染の増強が観察されたことから、活性発現にヘパリンを要求する線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮細胞成長因子、および肝細胞成長因子等の各種成長因子のHCVシュードタイプウイルスの感染への影響を調べた。その結果、FGF添加でのみ有意にHCVシュードタイプウイルスの感染抑制が観察された。 3.HCVは血液媒介ウイルスであるため、感染の場にヒト血液成分が必要ではないかと考えた。そこで各種動物血清のシュードタイプウイルスの感染における影響を調べたところ、ヒト血清が濃度依存的にHCVシュードタイプウイルスの感染性を増強することが示された。
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