研究概要 |
本研究では私どもが新規に見出した表皮剥脱毒素遺伝子を含む病原因子遺伝子クラスター領域(etd pathogenicity islandと命名)の塩基配列を決定し、コードされている表皮剥脱毒素ETDが新生児マウスに表皮剥脱活性を有すること、ヒト及びマウス表皮細胞デスモゾーム蛋白Dsg1を選択的に消化すること、特定の黄色ブドウ球菌クローンがETDを産生することを明らかにした(Infect. Immun. 70, 5835)。またETBがヒト及びマウス表皮細胞デスモゾーム蛋白Dsg1を選択的に消化することを明らかにした(J. Invest. Dermatol. 118,845)。さらにETA, ETB, ETDが表皮細胞デスモゾーム蛋白Dsg1のカドヘリン-リピートの中のLNVIE-GS(P)VFRC配列を共通して切断することを明らかにした(J. Clin. Invest. 110, 53)。一方、関西で病院外来で採取した伝染性膿痂疹患者由来の黄色ブドウ球菌臨床分離株を用いて表皮剥脱毒素産生性についての分子疫学調査を行った。その結果、ETA, ETBを産生する株はクローンとして存在すること。またその中に80年代までに認められたコアグラーゼ型とは異なる型が多数派として存在し、それがMRSAであることを明らかにした(J. Infect. Dis. 185, 1511)。
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