研究概要 |
本年度は、Nef蛋白によるHLAクラスIの発現低下がCTLの機能に及ぼす影響を明らかにする為に、ヒトのCD4T細胞にHIV-1およびNef mutantをもったHIV-1を感染させ、細胞傷害活性、サイトカイン産生、HIV-1増殖抑制能を測定する事により、HIV-1特異的CTLクローンによるHIV-1感染細胞に対するHIV-1抗原認識能を調べた。その結果、Nef蛋白による細胞表面のHLAクラスIのdownregulationの結果、HIV-1特異的CTLクローンの細胞傷害活性は著しい障害を受けた。一方、HIV-1特異的CTLクローンのサイトカイン産生に及ぼす影響は少なく、部分的なHIV-1増殖抑制能が見られた。以上のことから、Nef蛋白による細胞表面のHLAクラスIのdownregulationは、HIV-1特異的CTLクローンの細胞傷害活性を障害するが、サイトカイン産生能に対する影響は少なく、HIV-1特異的CTLから産生されるサイトカインにより、部分的なHIV-1の増殖抑制がおこると考えられた。 さらに、慢性HIV-1感染者でHIV-1特異的CD8T細胞の機能異常および分化異常があるか明らかにするために、まだ詳細には明らかになっていないヒトの抗原特異的CD8T細胞の分化・成熟を明らかにすることを試みた。ヒトの末梢血CD8T細胞を分離し、抗CD27,抗CD28,抗CD45RA,抗perforin、抗ケモカインレセプター抗体を用いて多重染色法により、フローサイトメトリーで解析した。その結果、CD27,CD28,CD45RAの3つの細胞表面マーカーを用いて、naive, memorry, memorry/effector, efffectorに分画する事が可能となった。
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