研究概要 |
本年度は、TLR4と細胞表面上で複合体を形成するために重要なマウスMD-2中のアミノ酸残基と異物認識に重要なマウスMD-2中のアミノ酸残基をアラニンスキャン法により決定した^<4)>。Cys^<37>,Leu^<71>,Leu^<78>,Cys^<95>,Tyr^<102>,Cys^<105>,Glu^<111>,Val^<113>,Ile^<117>,Pro^<118>,Phe^<119>,Glu^<136>,Ile^<138>,Leu^<146>,Cys^<148>,及びThr^<152>をアラニンに変えた変異体を導入した細胞では細胞表面上でTLR4との複合体形成は認められなかった。さらに、これらの変異体を導入した細胞は野生型を導入した細胞とは異なり、LPS及びタキソールに対する刺激に応答しなかった。一方、Tyr^<34>,Tyr^<36>,Gly^<59>,Val^<82>,Ile^<85>,Phe^<126>,Pro^<127>,Gly^<129>,Ile^<153>,Ile^<154>及びHis155をアラニンに変えた変異体を導入した細胞では細胞表面上での,TLR4との複合体形成は正常に認められたが、LPS及びタキソールに対する刺激に応答しなかった。これらの結果から、細胞表面上のTLR4-MD2複合体の形成はLPS及びタキソールに対する刺激伝達に必須であるが、十分ではないことが分かった。さらに、マウスMD-2のコドン番号34,85,101,122,及び153番目のアミノ酸残基はLPS応答性を獲得するためとタキソール応答性を獲得するためとでは部分的に異なることが分かった。これらの知見は受容体構造解析の点からも重要である。
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