研究概要 |
近年精力的に研究されているマルチメディアを用いたインターネット教育システムでは,教材の理解度が思ったほど上がらないという問題点が認識されつつある.その原因としては,(a)マルチメデイアを用いて情報を提示してしまうと,内省的な思考,即ち,最も大切な分析的,抽象的思考が阻害されるという認知心理学的な問題点,および(b)コンピュータ画面上に提示された教材は熟読することが困難であるというコンピュータのユーザインタフェースの問題点が指摘されている. 本研究では,上記の後者の問題点の原因を,「マルチメディア教材へのメモ書きが自由に出来ない」点にあると考え,この解決を図る.デジタル情報の特質は,(1)ダイナミックであること(動的),(2)インタラクティブであること(対話的)の2つであり、(1)のためには,アニメーションやビデオなどの動画や音声からなるデジタル情報へのアノテーションの記入,および再生などが出来ることが必須となり,(2)のためには,アノテーションを手で書くのと同様な操作で,デジタル情報を操作,即ち,クリックしたり,文字情報を入力できなければならない. 以上の背景により,マルチメディア教材の特徴である,「動的」+「対話的」な性質を持つデジタル情報へ,自由に,自然に手書きでメモ『アノテーション』が記入でき,活用可能であるシステムを実現した. さらに,インターネットに公開されている物理や数学の特定の問題を教育する「動的」かつ「対話的」な特性を有するマルチメディア教材を用いて本システムの有効性を検証した.
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