研究概要 |
本年度は下のような研究成果をあげた. (1)同じ出題箇所を異なる難易度で出題する手法の構築およびシステムの実現を行った. 一般に教師が教材から練習問題を作成する作業は,出題箇所の決定,出題文の決定,選択肢の決定を行う.この3つの項目は,全て出題意図に関係しているため,この様な情報を教材から自動的に抽出するのは困難である.そのため,出題者が教材にこれらの情報をタグとして書き込むことにし,選択問題,穴埋め問題,誤り訂正問題の3つの出題形式で出題するシステム(AEGIS)を作成した. (2)学生の理解度と問題の難易度を動的に変化させて出題する手法の構築を行った. 学生の理解度を動的に評価するための評価式を定義した.また,AEGISは学生の理解度と問題の難易度とを比較して近い値の問題を優先して出題する方法で,理解度に応じた出題を行っている.そのため,問題の難易度もできるだけ正確に評価されている必要がある.AEGISでは,問題の難易度を教師が与える仕組みになっているが,教師が考える難易度と学生が感じる難易度とには差が生じる可能性があるので,問題の難易度も動的に評価する手法を構築し,評価式を定義した.さらにこの動的な評価がうまく動作することを確かめるためにシミュレータを用いた実験を行い、提案した動的評価法の有効性を示すことができた. (3)練習問題のナビゲーション機能に関する検討を行った. 講義する立場や目的によって講義方式は異なることが普通であるので,講義の立場や目的によって練習問題の出題方式も変化すべきである.このように,指導方式によって出題される問題の順序も異なって欲しいが,そのように出題される問題の集合を選出することは,大きな手間が必要となる.本研究では,コンセプトタグを定義し,それを用いて問題に概念ラベルをつけることができるようにした.
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