研究概要 |
本研究は,算数・数学教育の内容とその配列を,数学の価値や系統性,社会の数学に対する必要性,児童・生徒の算数・数学の理解度,という3つの大きな要因をもとに考えようとするものであり,本年度は,このうち,児童・生徒の算数・数学の理解度等に焦点を当てたものである。 そこで,児童・生徒の算数・数学の理解度等を,算数・数学の教育課程との対比で分析することにした。児童・生徒の算数・数学の理解度等については,戦後,文部科学省(旧文部省),国立教育政策研究所(旧国立教育研究所)が実施してきた学力調査や教育課程実施状況調査等の膨大なデータを分析の対象にした。本研究で分析対象としたのは,次の算数・数学に関する22の調査報告書にあるデータである。文部省全国学力調査12冊,文部省・国立教育政策研究所教育課程実施状況調査報告書5冊,国立教育研究所(国立教育政策研究所)IEA国際数学教育調査4冊,国立教育政策研究所OECD調査1冊。 これらの報告書から,算数・数学に関する調査問題とその正答率・通過率をすべて取り出し,それらを,算数・数学の内容別に分類し,正答率・通過率をもとに,児童・生徒の算数・数学の理解度等を分析した。研究成果報告書においては,内容項目別に算数・数学問題と正答率・通過率をまとめた表を掲載し,それに分析を付した。また,児童・生徒の理解度等を簡潔に把握できるように,内容項目・学年別に,正答率・通過率の最小値,平均値,最大値を算出した表も作成した。これらの分析結果は,今後の算数・数学教育の内容とその配列を考える基礎資料となるものである。 また,本研究の一環として実施した都道府県・政令指定都市の教育委員会指導主事対象の調査については,その分析結果を「算数・数学教育に関する都道府県・政令指定都市の指導主事の意見」としてまとめた。
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