研究課題/領域番号 |
14023223
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
人文・社会系
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研究機関 | 松阪大学 |
研究代表者 |
上野 利三 松阪大学, 政策学部, 教授 (70151818)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 射和文庫 / 測量 / 和時計 / 地図 / 肖像写真 / 天文学 / 松阪木綿 / 暦学 / 伊勢地域 / 農業土木 / 伊能忠敬 / 灌漑地 |
研究概要 |
江戸時代伊勢地域の科学技術の水準及び進歩の度合いがいかなるものであったかということを推しはかるために、平成15年度は、(1)射和文庫所蔵の文献資料と器物資料を調査し、また(2)松阪大学において、大学と「江戸のモノづくり」A02班の共催で「江戸時代伊勢地域における科学技術」(シンポジウム)を実施した(基調講演松田清先生外2名、シンポジウムパネラー・佐藤賢一先生外7名、司会鈴木一義・上野利三)。さらに(3)『地域文化史の研究』(上野編著)を刊行し、(イ)衣(松阪木綿紋様の研究)、(ロ)食(伊勢志摩の伝統的食文化)、(ハ)住環境の研究、(ニ)中世末・陣僧の救護活動、など10章に分けて論じた。また(4)近世の中に近代の点灯が長崎に発祥したとの観点からこの地の科学技術史年表を作成した。藤堂藩や鳥羽藩など、伊勢志摩の各藩が長崎に多くの留学生を送り、人材を育成したことの関わりを認識する材料を得るための作業でもある。 さて上記中(1)の箇所的具体的調査研究において、従来の科学史に一石を投じる成果があり、特記しておきたい。まず(a)文献資料のなかでも「宮板実測日本地図」(慶応2年)は、竹川竹斎がこの年に江戸下向し、帰国のさい幕府の洋式軍艦で大坂まで行く航路を、伊能忠敬の測量によった地図に、知人の和算家奥村喜三郎から得たデータを書き加えたのであって、竹斎と奥村との関係がここに明確になった点。(b)器物資料では、射和文庫で一昨年発見された自動割駒式和時計(幕末・岩野忠之作)の仕組が従来に発見されたことがない逸品であることが判明したこと。また竹斎と勝海舟の肖像写真も、前者はイタリア人ベアト撮影、後者は残存する勝の写真中出色ということがわかった。
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