研究課題/領域番号 |
14026002
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉木 敬 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60220612)
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研究分担者 |
高橋 利幸 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40261284)
池田 仁 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20232192)
志田 壽利 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00144395)
石津 明洋 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60321957)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2002年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | ヒトT細胞白血病ウイルス / 成人T細胞白血病 / 動物モデル / 遺伝子改変動物 / CRM1 / 胸腺腫 / p16 / ARF |
研究概要 |
ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)がヒト以外の動物細胞で効率よく増殖できないのは、ウイルス粒子の形成に必要なRexの働きを支持する宿主細胞性因子CRM1のうち、ヒト型のもののみHTLV-Iに有効に作用するためであると考えられる。本研究では、マイクロインジェクション法により,ヒトcrm1遺伝子をラット受精卵に導入した。導入遺伝子にはプロモーター領域を含むヒトcrm1 BACクローン、およびマウスMHCクラスIプロモーターの下流にヒトcrm1のcDNAを結合したコンストラクトを用いた。得られた遺伝子導入ラットはHTLV-Iに対する高い感染感受性を持つことが期待される。このラットにHTLV-Iを感染させ、現在、経過を観察中である。また、すでに作製したHTLV-I遺伝子導入ラットを用いて、HTLV-Iによる細胞腫癌化機構ならびに悪性化機構を解析した。lckプロモーターの制御下にHTLV-I pX遺伝子を発現するlck-pXラットは上皮型胸腺腫を発症する。このラットの腎被膜下に腫瘍化前のlck-pXラット胸腺を移植することにより、約6ヶ月間の観察期間で、胸腺腫の悪性化と考えられる現象が認められた。この悪性化胸腺腫では、細胞周期を負に制御するp16とARFの発現が全例でほとんど認められず、p16/ARF領域の異常が本腫瘍の悪性化に中心的な役割を果たしているものと考えられた。HTLV-I感染が原因である成人T細胞白血病(ATL)は一般にキャリア状態から腫瘍化し、くすぶり型や慢性型といった低悪性度のATLから急性型やリンパ腫型といった高悪性度のATLへと進展する経過をたどる。従って、本モデルでの胸腺腫の悪性化はヒトATLの急性転化でみられる現象の一部を観察している可能性があり、本実験系はHTLV-I関連腫瘍の悪性化機構を解明する上で有用なin vivoモデルとなり得るものと考えられる。
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