研究課題/領域番号 |
14026006
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
多田 周右 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (00216970)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2002年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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キーワード | がん / DNA二本鎖切断 / DNA修復 / DNA複製タンパク質A / Rad51 / 細胞周期チェックポイント |
研究概要 |
DNA二本鎖切断(DSB)は、放射線やある種の薬物に対する被爆、あるいは比較的軽度のDNA障害を残したままDNA複製が進行することなどにより生じ得る。このようなDSBは、染色体構造の異常などを伴うより重篤な遺伝子構造・遺伝情報の破壊を誘起する可能性を持っており、様々な環境要因ががんや遺伝的障害の起因となる場合にDSBを介することは少なくないと考えられる。現に多くの発がん誘発性遺伝的疾患の原因遺伝子についてDSB認識・修復との関連が示唆されるに至っている。本研究では、このDSBに対する認識応答・修復反応を無細胞的に再現し、その分子的機序を生化学的に解析することを試みている。このために、Xenopus卵抽出液を用いた実験系を利用し、DSBを誘起するDNA傷害剤としてDNAトポイソメラーゼI阻害剤であるカンプトテシンおよび制限酵素EcoRIを使用した。クロマチン画分のwestern blottingによりヒストンH2AのひとつH2AXのリン酸化と共に、Mre11、RPA、Rad51等のDSB認識修復応答に関わる因子のクロマチン画分への蓄積が確認された。間接蛍光抗体法による顕微鏡観察により、これらの因子の蓄積はクロマチン上のDSB部位への結合を反映しているものであることが示唆された。さらに、RPA、Rad51蓄積部位においてDSBの修復に伴うものと思われるDNA合成が検出された。このDNA合成はaphidicolinを添加することにより抑止されたが、細胞周期チェックポイント経路の阻害の影響は受けなかった。DSBに応じて細胞周期チェックポイント経路が活性化し卵抽出液中のDNA複製を抑止することも確認された。今後、この実験系を基本として遺伝子構造安定性維持機構の分子機序について明らかにしていきたいと考えている。
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