研究概要 |
6番染色体長腕の欠失はリンパ系造血器腫瘍で最も高頻度に観察される染色体異常の一つである。我々はこれまでにFISH法を用いた欠失解析によって、その標的遺伝子の候補の一つとしてBlimP1遺伝子を同定したが、6qには少なくとも6つの独立した欠失集積領域が確認されており、同領域には複数の癌抑制遺伝子の存在が想定される。そこで、本研究では、Blimp1の機能解析を進めるとともに、ゲノムアレイCGHを用いて網羅的に欠失領域の高解像度地図を作製することにより、6qの癌抑制遺伝子群を網羅的に同定することを計画した。 (1)Blimp1の機能解析では、Blimp1のプロモーター領域のメチル化の解析により、本遺伝子の不活化がホモ接合性欠失や点突然変異のみでなく、CpGアイランドのメチル化によっても生ずることを明らかにするとともに、本蛋白が核内では二量体として存在し、300kDおよび350kDの蛋白と結合していることを明らかにした。また、Cre-LoxPシステムを用いたBlimP-1の条件的遺伝子欠損マウスの作成を行った。 (2)CGHの基礎条件の検討とプローブDNAの調製 p15/p16遺伝子座およびFISH法により欠失の状態を検討済みの領域、さらにX染色体およびY染色体に固有な塩基配列をプローブDNAとしてCGHの条件を検討し、以下の至適条件を決定した。(1)DNA:超音波処理による断片化を施したBAC/PAC DNA、2)DNA濃度2.0g/l以上、(3)Spotting溶液:3xSSC/1.5MTrimethylglycine溶液、(4)スライド:Corning GAPS aminosilan-corted slide、(5)Blocking : NPM法、(6)Labelling : post labelによるNick translation、(7)making : 80μg/2μgprobe、(8)Hybridization : 2xSSC, 10%dextran, 50% formamide。一方、6qのBAC/PACコンティグのDNA調製については、6q15-23領域のコンティグを校正する1250個のPAC/BACクローンの大量調製をほぼ完了した。次年度以降、実際の腫瘍検体を用いてアレイCGHによる解析を行う。
|