研究課題/領域番号 |
14026027
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菱田 卓 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (60335388)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2002年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | DNA相同組換え / DNA複製 / ゲノム安定化 / MGS1 / DNA修復 |
研究概要 |
DNA複製の阻害は、細胞にとって致死となるため、障害を取り除いて複製を再開するメカニズムは、すべての生物にとって普遍的な問題であるだけでなく、ヒトにおいて、これらのシステムに異常が生じた場合、突然変異頻度の上昇、重複、転座等のゲノム不安定化が引き起こされ発がんの原因になることがわかっている。我々は、大腸菌からヒトまで高度に保存されたMgs1蛋白質の機能解析を通じてDNA複製時のゲノム安定化維持における、DNA複製、修復、組換え機構の全体的な理解を深めたいと考えて研究を行っている。 今回、Two-Hybrid法による出芽酵母Mgs1蛋白質と相互作用する因子の同定を試みた結果、ヒトのユビキチン様蛋白質SUMO-1のホモログであるSmt3を同定した。また、細胞粗抽出液中にも、Smt3により修飾を受けた複合体が存在し、Mgs1蛋白質の機能に影響を与えていることが考えられた。次に、mgs1変異株を用いた結果から、Mgs1は、DNA複製フォーク進行阻害に応答して働く複製後修復や相同組換え機構とは別の経路で、フォーク進行阻害の回避に関与していることが示唆された。さらに、mgs1変異はDNAポリメラーゼδ(Polδ)をコードするPOL3遺伝子の温度感受性変異株の高温感受性を抑制する一方で、ゲノム不安定化を伴っていることを明かにした。また、このような関係は、酵母だけでなく、原核生物の大腸菌においても観察された。このことから、Mgs1蛋白質の機能は、原核生物から真核生物まで保存されており、複製フォークが損傷や障害等によって阻害された場合、Polδを含む複製装置と相互作用することで複製フォークの進行を制御し、ゲノム安定性維持に働いていると考えられる。
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