研究概要 |
p53のPIAS1によるSUMO化の亢進の制御機構、細胞増殖への影響を検討した。UVなどのDNA損傷に応答してp53のSUMO化タンパク質が増大し、その転写活性が活性化されることが報告されていたことから、UVなどのDNA損傷に応答して起こるp53のリン酸化がそのSUMO化へ影響を及ぼすかどうかを調べた。DNA損傷により誘導されると考えられるセリン残基をグルタミン酸に置換した変異体について調べたところSer15,18,20,46については影響が認められなかった。またこれらの変異はPIAS1との結合にも影響を与えなかった。しかし、PIAS1はp53によるアポトーシス誘導を促進し、p53のSUMO化部位のリシンをアルギニンに置換した変異体はアポトーシスに抵抗性を示した。現在SUMO化によるアポトーシス促進機構について解析を進めている。 次にPIASファミリータンパク質のもつSUMO-E3リガーゼ活性をandrogen receptor (AR),Mdm2について調べた。ARはPIAS1,PIASxαで、Mdm2はPIAS1,PIAsxβでそれぞれSUMO化の亢進を認めた。PIASによるARのSUMO化の亢進はその転写活性化を負に制御していると考えられた。Mdm2のSUMO化亢進はもう一つのSUMO-E3リガーゼであるRanBP2によっても認められた。しかし、Mdm2のSUMO化亢進によりp53に対するユビキチンリガーゼ活性や結合に影響は見られなかった。現在PIASタンパク質の示す基質特異性についてp53を含めて解析するとともに転写因子のSUMO化による共通の制御機構があるのではないかと考え解析を進めている。
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