研究課題/領域番号 |
14026060
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 特殊法人理化学研究所 |
研究代表者 |
胡桃坂 仁志 理化学研究所, 細胞情報伝達研究室, 研究員 (80300870)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2002年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | 二重鎖DNA切断 / 相同的組換え / DNA修復 / Rad52 / Rad52 splicing variant / リング構造 / DNA結合 / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
染色体DNAが放射線や抗がん剤などによって受ける二重鎖DNA切断は、相同組換えを経由して速やかに修復される。この相同組換え機構の欠損が癌化の直接の原因となることが、近年報告されている。相同組換えの過程で、二重鎖切断を受けたDNA部位は、無傷の染色体DNAの中から相同な配列を探し出して対合する。この過程を相同的対合反応という。これまでに我々は、真核生物においてバクテリアRecAのホモログであるRad51とDmc1に加えて、ヒトRad52が、Rad51非存在下で相同的対合反応を触媒することを見出した。今回、Rad52の相同的対合反応触媒ドメインの高次構造を、X線結晶構造解析により決定した。その結果、ヒトRad52の相同的対合ドメインであるRad52_<1-212>は、11分子集まって安定なリング構造を形成することが分かった。次に、Rad52_<1-212>の表面電荷よりDNA結合領域を予想した。そしてその領域に存在するLys、Arg、およびTyr残基をそれぞれアラニンに置換した変異体を作成し、これらのDNA結合活性を調べた。そして、単鎖および二重鎖DNA結合にそれぞれ重要な残基が、予想されたDNA結合領域に局在することが明らかになった。さらに興味深いことに、分析超遠心法によって、全長のRad52は、Rad52_<1-212>とは異なり7量体のリング構造を形成することが明らかになった。この7量体リングは、Rad52_<1-212>の11量体リングと電子顕微鏡下では区別できないほど似ていた。そこで、Rad52_<1-212>の立体構造を用いて7量体リング構造のモデルを構築したところ、Rad52のC末端領域がモノマー間の領域の形成に関与することが予想された。これらの結果から、Rad52_<1-212>の11量体リング構造は、Rad52よりむしろRad52のN末端側と高い相同性を示す酵母のRad59や、N末端領域の約200アミノ酸からなるヒトRad52のsplicing variantの立体構造を反映していると結論された。そして、Rad52のホモログの間で、7量体と11量体の2種類のリング構造が存在することが明らかになった。
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