研究課題/領域番号 |
14028020
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木村 秀生 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60327070)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2002年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | 一酸化窒素 / 血管内皮増殖因子 / 低酸素 / hypoxia inducible factor 1 / 転写因子 |
研究概要 |
一酸化窒素(NO)が低酸素と同様にhypoxia inducible factor 1 (HIF-1)を介し、血管内皮増殖因子(VEGF)遺伝子の転写を活性化することと、VEGF遺伝子の転写にはcis-elementsとしてHIF-1結合部位(HBS)とその下流のHIF-1 ancillary sequence (HAS)が必須であることを以前の実験で明らかにしていた。本研究では、アフィニティークロマトグラフィー法を用いて、ヒト腫瘍細胞HelaS3からHASに特異的に結合するHAS結合因子の抽出を試みた。HAS結合因子はタンパク量が少なく、高い塩濃度ではHASとの結合力が弱いために、この方法による単離は困難であった。現在は、酵母によるone-hybrid systemも平行して行い、クローニングを試みている。また、VEGF以外の低酸素誘導遺伝子の転写にもNOが関与するか否か調べたところ、検討した3種類の遺伝子のプロモータをNOは活性化し、いずれもcis-elementsとしてHBSとHASが重要であることが分かった。我々の結果と異なり、NOがVEGF遺伝子の発現を抑制するとの報告があるため、代表的なNO供与剤6種類を用いて、HIF-1やVEGF遺伝子に対する影響を4種類の腫瘍細胞株で検討した。一部を除いてNO供与剤は濃度依存性にHIF-1を誘導し、VEGF遺伝子の転写を活性化することが分かった。しかし、低酸素状態では高濃度のNO供与剤は逆にこれらの活性を阻害した。現時点ではVEGF遺伝子のHAS結合因子のクローニングはされていないが、NOがVEGF遺伝子をはじめ多くの低酸素誘導遺伝子の発現に関与し、低酸素によるそれらの発現を修飾している可能性が示唆された。NO供与剤を用いる際は、その種類と濃度、周囲の酸素濃度によりNOの影響が異なることから、実験条件を考慮したうえで結論を出す必要がある。
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