研究課題/領域番号 |
14028031
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
浜口 道成 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90135351)
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研究分担者 |
岩本 隆司 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 助手 (60223426)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
2002年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | v-Src / シグナル伝達系 / ヒアルロン酸 / CD44 / MMP-2 / SHPS-1 / 足場非依存増殖 / マトリックスメタロプロテイナーゼ |
研究概要 |
本研究は、v-src、v-crk癌化細胞の浸潤・転移に決定的なシグナル伝達系を、独自の系を用いて解明する事にある。我々は昨年、v-Src癌化細胞は大量のヒアルロン酸を分泌する事、この分泌活性化はv-Src癌化細胞の運動能を亢進させる事を報告した。この結果をもとに、ひと癌細胞におけるヒアルロン酸-CD44シグナルの機能を解析した。ひと肺癌細胞QG90は、ヒアルロン酸刺激により、マトリックスメタロプロテアーゼ2 (MMP2)の分泌亢進と活性化が起きる事を見い出した。またこの刺激は、Ras-MAPK系、PI3K-Akt系を介する事を見い出した。更に、ヒアルロン酸過剰分泌の細胞機能に及ぼす影響を明らかにする為に、正常細胞の3Y1にヒアルロン酸合成酵素(HAS)遺伝子を強発現し、その影響を観察した。その結果、ヒアルロン酸の過剰発現に伴い、細胞が重層化し、密度依存性の増殖抑制(contact dependent inhibition of cell growth)が部分的に解除された。この変化は、Aktの阻害剤によって抑制された。我々は、SHPS-1がv-Src癌化細胞の足場非依存増殖を抑制する事を報告している。更に解析を進め、SHPS-1の発現が個体レベルで癌細胞の播種を抑制する事を明らかにした。更に、SHPS-1の正常細胞における機能を検索した結果、炎症性サイトカインのIL-1β,TNFα刺激下にSHPS-1のリン酸化とそのSHP-2への結合、Ras-MAPK系、PI3K-Akt系の活性化が起きる事、またSHPS-1はIL-1の受容体であるIL-1RacPと結合する事を見い出した。この結果は、正常細胞の増殖と癌細胞の足場依存増殖において、SHPS-1はアンビバレンツな機能を持つ特異的な増殖制御因子である事を示す。
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