研究課題
特定領域研究
本研究課題では、siRNA発現ベクター系の最適化および、高機能化を行うと共に、現在作製段階であるヒト遺伝子に対するsiRNAベクターライブリーを用いて、がんに関連する新規機能遺伝子の探索、シグナリングパスウェイの解析を行っている。今年度は、昨年度までに開発してきたsiRNA発現システムを用いて、アポトシスに関与する遺伝子数百個に対して、siRNA発現ベクターライブラリーを作製し、アポトシスシグナルトランスダクションの解析を試みた。タプシガルジン添加による小胞体(ER)ストレス依存的なアポトシスに対して、スクリーニングを行った結果、これまで知られていたDR5-Caspase8の経路に加えて、E2F1-PUMAパスウェイ、MAP2K8-ERKパスウェイが関与していること、また、ミトコンドリアの上流に、これまで報告のあるBid以外にも、PUMA、Badなど他の、BH3-only proteinが関与していることが新たに明らかになった。また、これまで関与していると考えられていたCaspase3、Caspase9非依存的な経路の存在が示唆された。今回の解析結果は、我々が開発したsiRNAベクターライブラリーを用いたスクリーニングがシグナル経路を解明する上で非常に効果的であることを強く示唆しており、今後のさらにスケールアップしたsiRNA発現ライブラリーを用いた、様々ながん細胞および、様々なアポトシス経路における新規機能遺伝子の網羅的探索を行っていく予定である。また、アポトシスを抑制するsiRNAベクターだけではなく、逆にアポトシスを促進するsiRNAベクターのスクリーングも、がんの治療に直接的に応用できる可能性があるので、精力的に行っていきたいと考えている。
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