研究課題/領域番号 |
14030081
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
河野 健司 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90215187)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2002年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / 非ウイルスベクター / リポプレックス / 膜融合 / ナノバイオ / 生体材料 / リポソーム / ナノ材料 |
研究概要 |
これまでに酸性で膜融合性となるサクシニル化ポリグリシドール(SucPG)修飾リポソームとリポプレックスの複合体(SucPG複合体)を設計し、この複合体が既存の非ウイルスベクターと比べて優れた特長をもつことを明らかにした。トランスフェリンを結合したSucPG複合体は、標的ガン細胞表面のトランスフェリンレセプターと特異的に結合した後、エンドソームと融合することによって遺伝子を細胞質に導入し、効率のよい遺伝子発現に導く。ここでは、細胞機能を遺伝子発現に適した状態に同調させる機能をSucPG複合体に付与することによって、さらに高い遺伝子導入活性の実現を試みた。まず、シグナル伝達物質として種々の細胞現象にかかわるカルシウムイオンや細胞内のヌクレオソーム構造の制御にかかわるヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤であるトリコスタチンAを内部に含有したSucPG複合体を調製し、その遺伝子導入活性に及ぼすこれらの生理活性物質の同時導入の効果について検討した。その結果、カルシウムイオンやトリコスタチンAを含有したSucPG複合体と処理した細胞では、顕著に高い遺伝子発現が起こることがわかった。カルシウムイオンの同時導入によりエンドサイトーシスが促進され、また、トリコスタチンAの同時導入では、ヌクレオソーム構造の変化や細胞周期の変化を介して導入遺伝子の発現効率が高まったものと考えられた。本研究で用いたSucPG複合体は、最大限の遺伝子発現を行えるように最適化された構造をもつ。それにもかかわらず、カルシウムイオンやヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の含有によって、遺伝子発現効率の飛躍的な向上を実現できることが明らかにされた。このような、細胞機能の調節能の付与という本研究で示された手法は、高い遺伝子導入活性をもつ非ウイルスベクターを構築するための新しい、有効なストラテジーである。
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