研究課題/領域番号 |
14030094
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
谷田部 恭 愛知県がんセンター, 研究所・分子腫瘍学部, 研究員 (90280809)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2002年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 腫瘍の多様性 / 腫瘍クローン / tissue microarray / 14-3-3σ / 神経内分泌腫瘍 / メチレーション / セリンプロテアーゼ阻害分子 / 転移 |
研究概要 |
腫瘍は多くの場合1つもしくは少数のクローンによって成り立っている。個々の腫瘍間での隔たりが少なく、同一腫瘍内においても比較的均一なクローンより成り立っている大腸癌や食道癌に対し、肺癌は腫瘍間での隔たりが著しく、同一腫瘍内で異なる組織形態混在する腫瘍が少なくない。このような腫瘍内の多様性は転移クローンに進展するなどと考えられているが、実際に臨床的どのような因子と関連し、どのようにがんの臨床に関与しているかの研究はいまだ少ない。そこで、この多様性がどのようにがん化や臨床病理学的特徴に反映されているのか、tissue microarrayを用いて500例以上を網羅的にスクリーニングした。そのうち、腫瘍間および腫瘍内多様性の著しかった2つの遺伝子を抽出し、さらに検索を進めた。その1つ、14-3-3σはG2 checkpointを司る因子であり、そのプロモーターのメチル化による発現低下は、神経内分泌腫瘍に特異的であり、発生臓器や悪性度に依存しないことを見出した。このことから、14-3-3σはこの腫瘍の形成に普遍的かつ重要な役割を果たすと考えられた。また、その発現は幹細胞とされる上皮に限局し、再生時に正に制御されることから、細胞分化や細胞再生と関連が深いと考えられた。このような正常細胞での生物学的な意義から、その発現低下は神経内分泌腫瘍における分化再生の違いを反映していることが示唆された。次に検索した遺伝子は、serine protease inhibitorに属する分子で、浸潤転移と関連が示唆されている。この遺伝子は同一腫瘍内においてきわめて多様性に富む発現パターンを示すことを見出した。さらに、この発現はDNAメチル化によって制御され、同一腫瘍内でのこの遺伝子発現の多様性が、DNAメチル化、細胞腫の変換、転移浸潤と互いに関連しているとする結果が一部の症例で得られたことから、さらに検討を進めている。
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