研究分担者 |
小林 康毅 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178341)
鈴木 庄亮 群馬産業保健推進センター, 所長
藤田 利治 国立保健医療科学院, 疫学部, 室長 (30175575)
水沼 英樹 弘前大学, 医学部, 教授 (10125875)
麻生 武志 東京医科歯科大学, 医歯学総合, 教授 (60093176)
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研究概要 |
わが国の女性におけるホルモン補充療法など女性ホルモン剤の利用実態を把握し,乳がんの発生との関連を検討することを目的として,全国30歳以上の女性看護師を対象とした大規模女性コホートJapan Nurses' Health研究の第一次ベースライン調査(39,713人)を分析した。 その結果,ホルモン補充療法の利用経験があると答えた女性の割合は,30歳代で0.7%,40歳代で3.2%,50歳代で10.1%,60歳以上で10.4%であり,Gn-RHや薬剤種類不明などを除き,薬剤写真付リストでその使用薬剤が特定できた女性のみをHRT経験者とした場合の割合は,30歳代で0.3%,40歳代で1.8%,50歳代で6.9%,60歳以上で6.7%であった。HRT薬剤の内容は,年齢階級が低くなるほど(近年に治療を受けたものほど)エストロゲン剤にプロゲステロン剤を併用する者の割合が多くなっていた。乳がんの既往を報告した女性は,30歳代で1.4%,40歳代で3.2%,50歳代で5.8%,60歳以上で8.3%と,累積発生からは50歳前後から発生が増えていた。 40歳以降に閉経を迎えた閉経後女性4,708人を対象に,閉経後に新たに乳がんと診断された経験をもつ女性をケースとし,乳がん発生のリスク要因をロジスティック回帰分析により,探索的に検討した。その結果,妊娠可能年数(=閉経年齢-初経年齢)が統計学的に有意なリスク要因で,調整後のオッズ比は1.154(95%信頼区間:1.016-1.309)と,妊娠可能期間が長い女性ほど,乳がん発生が増えていた。また,BMI,HRT使用経験,HRT使用期間でのリスク増加は,統計学的に有意なものではなかった。
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