研究課題/領域番号 |
14033209
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
増山 典久 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (60313227)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 遺伝子 / 癌 / シグナル伝達 / 細胞周期 |
研究概要 |
本研究では癌遺伝子産物であるAktの新たな作用機構を明らかにすることを目的とした。これまでの研究によって、Aktがp53のユビキチンリガーゼであるMdm2をリン酸化し、Mdm2のp53に対するユビキチンリガーゼ活性を上昇させることで、p53タンパク質の分解を促進し、間接的にp53の作用を負に制御することを明らかにした。AktはMdm2の2つのセリン残基Ser166とSer186をリン酸化することを見いだしたが、このうちMdm2のp53へのユビキチン化にはSer186のリン酸化が重要であり、一方でSer166のリン酸化の意義は明らかでなかった。Mdm2をNIH3T3に発現させて軟寒天中でのコロニー形成能を検討したところ、2つのセリン残基のうちのどちらかをアラニン残基に置換した変異型Mdm2では野生型Mdm2に比べて低いコロニー形成能を示した。この結果はSer186ばかりでなく、Ser166もMdm2の機能に重要であることを示唆しており、Mdm2の作用機構としてp53のユビキチン化以外の機能が存在する可能性が予想された。これまでにMdm2とE2F1タンパク質が相互作用することが報告されていたことから、Mdm2によってE2F1の機能が調節を受ける可能性と、さらにAktによるMdm2のリン酸化によって影響を受ける可能性について検討を行った。この結果Mdm2とE2F1が直接結合し、Mdm2がE2F1をユビキチン化することを明らかにした。またMdm2によるE2F1のユビキチン化には2つのセリン残基が重要であることが示された。細胞に活性型のAktを発現させるとE2F1のタンパク質量が低下したことから、AktがMdm2をリン酸化することによりMdm2によるE2F1のユビキチン化活性を上昇させている可能性が示唆された。これらの結果から、AktによるMdm2のリン酸化を介してp53やE2F1のユビキチン化など多様な作用が担われる可能性が示された。
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