研究概要 |
本研究では,体細胞核移植をより確実な技術にすること,また,核移植を介さない細胞の初期化法を確立することを最終目的として実施した。すなわち,卵子に含まれる初期化因子の実体を探るとともに,初期割球や培養細胞を様々な角度から受精卵に近付ける工夫を行なった。また,現在の体細胞核移植法では,クローン胚の発生率が低く,高頻度で死亡することから,正常に発生するための工夫を行なった。 本年度は以下の実験を行なった。ウシMII期末受精卵に電気刺激による活性化刺激を付与し,電気刺激を与えていない卵子と与えた卵子との間で,予備的に2次元電気泳動をおこない,タンパクレベルでの差異がみられるかどうかを条件設定した。その結果,20個の卵子を用いて,差異のあるスポットを検出することができた。 マウスMII期の卵子の回収率の高いタンパク採取法について検討した100個のMII期卵子の透明帯を除去し,その後,(1)界面活性剤や還元剤を含まないバッファ,(2)界面活性剤や還元剤を含むバッファ,(3)より強力な界面活性剤や還元剤を含むバッファで可溶化した上清を2次元電気泳動に供した。その結果,(1)界面活性剤や還元剤を含まないバッファで処理した場合に解析可能なスポットを複数見つけることができた。 現在は,ウシとマウスの卵子を用い,活性化を付与したものと付与しないものとの間におけるタンパクレベルの差異をより詳細に検討中である。
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