研究概要 |
平成14年度は、ヒトとマウスのRNAi関連PAZ蛋白質(Dicer, EIF2C)のcDNAクローニングを行なった。ゲノムのドラフト配列と完全長cDNA、ESTクローンの5'末端配列、コザック配列、5'-非翻訳領域のインフレーム終止コドンから、開始コドンを推定してRT-PCRプライマーを設計し、完全なコード領域を含むcDNA断片を得た。dicer遺伝子はヒト、マウスゲノム中に1コピーのみで(ヒトゲノム14q32,マウス12E)、一方eIF2Cは4コピー存在した。eIF2C2はヒトでゲノム8q24+3に、マウスで15D3に位置し、残りの3つはeIF2C4, eIF2C1, eIF2C3の順番でタンデムに連なっていた(ヒトゲノム1P34+2,マウス4D2+2)。ヒトとマウスのcounterparts同士はアミノ酸配列にして2%以内の相違が存在するのみであったが、EIF2C1-4のPAZドメインの上流に、新たな保存領域(PRPモチーフと命名)を見い出した。このPRPモチーフはRNAi関連蛋白質である線虫Rde-1、ハエAgo2には存在しないものの、カビQde2、線虫Alg-1, Alg-2には存在した。もしかすると、これはmiRNA活性に必要なモチーフかもしれない。次に、培養細胞系を用いてdicer、eIF2C1-4のsiRNA-RNAi効果への関与を調べたところ、dicerやeIF2C1-4をsiRNAでノックダウンした場合、siRNA-RNAi活性が弱められた。さらに、免疫沈降試験から、DicerとeIF2C1, 2が相互作用しえることを突き止めた。これらの知見は、哺乳類のDicerとeIF2C群がRISC成分として機能し、siRNA生成後のRNAi機構に関与することを示すものである。
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