研究課題
特定領域研究
1)シロイヌナズナ変異体を用いた維管束の連続性に関する研究VAN3およびその3つのシロイヌナズナホモローグの機能解析を進めた。VAN3のホモローグそれぞれの、ダブルミュータントおよび、トリプルミュータントは維管束の連続性に顕著な影響を及ぼさなかった。しかし、van3との4重変異体では、主脈の断片化を含むvan3より重篤な表現型が現れた。これにより、ACAPタイプのARF-GAPが維管束の連続性に極めて重要な働きをすることが、その中でもVAN3が中心的な役割を担うことが明らかになった。また、脂質との関連について、脂質合成の突然変異体との掛け合わせ、さらには、各ドメインを単独で導入した変異体を用いた解析などから、PHドメインでのptdins(4)Pへの結合が、VAN3の機能発現に必要なことが明らかになった。また、van3による多様なPINの局在に対する影響を調べたところ、1種のPINのみの局在に影響を与えることが分かり、このPINはVAN3による輸送系の制御を受けている可能性が示唆された。2)発生における局所的細胞間相互作用の解析:維管束阻害因子、TDIF(Tracheary elements Differentiation Inhibitory Factor)の同定に成功した。この原因遺伝子を単離したところ、シロイヌナズナのCLE41、CLE44に相当する遺伝子であることが分かった。また、CLE41、CLE44タンパク質は12個のアミノ酸として切り出され、さらに水酸化されることにより、活性ペプチドとなることが分かった。シロイヌナズナに存在する全CLEペプチド26種を化学合成し、その活性をシロイヌナズナ茎頂の成長阻害、シロイヌナズナ・イネの根の成長阻害、シロイヌナズナ維管束形成阻害、コケの伸長成長阻害について調べたところ、それぞれに特異性と共通性のあることが明らかとなった。3)イネの横走維管束形成に関する研究イネ葉の横走維管束の間隔が短くなる突然変異体を単離し、その解析を行った。その結果、この原因遺伝子がレセプターキナーゼをコードしていることが明らかになった。
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