研究概要 |
大腸菌を宿主として増殖するミニFプラスミドの複製開始タンパク質RepEは二つの機能・すなわち複製開始因子として、二つ目にはrepE遺伝子の自己転写抑制因子として働く。前者はRepE単量体が、後者はRepE二量体が機能する。二量体から単量体への変換はDnaK分子シャペロンによって行われることを我々は明らかにした。この変換機構の詳細を分子レベルで明らかにするのが本研究の目的である。平成14年度は3つの課題を予定していたが、二つの課題について研究実績を報告する。 (1)分子シャペロンとの相互作用が出来なくなったRepE変異体を分離し、それらの変異体の解析によりDnaK分子シャペロンとの相互作用領域を決める。新たに16個の変異体をPCR mutagenesisを用いて、分離した。これらの変異体の自己転写抑制活性は正常であり、二量体は形成できるが、オリジンの繰り返し配列には結合出来ない性質を示すものとして分離した。さらにこれらの変異体の変異位置を決めた。N末ドメインに変異が位置づけられた。今後DnaK, DnaJ, GrpEとこれら変異RepEの間の相互作用を調べる予定である。(2)RepE二量体の結晶化と構造解析。正常RepE二量体はタンパク質が凝集しやすく結晶化が困難であるから、N末ドメイン(分子量約15kD)の結晶化を試みた。この断片RepEタンパク質は二量体であることを二つの方法を用いて、確かめた。また結晶化に成功した。現在、解像度が上げる試み、重原子を入れる試みをしている。次に構造解析を行う。
|