研究課題/領域番号 |
14037267
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
嶋本 伸雄 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (20127658)
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研究分担者 |
十川 久美子 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助手 (20291073)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 大腸菌RNAポリメラーゼ / プロモーター / abortive initiation / moribund複合体 / 分子メモリー / 転写シャペロン |
研究概要 |
従来、転写開始は必要な反応を直列に並べたもの(直列経路)とされてきた。近年、λP_Rプロモーター等でプロモーターに結合したまま、不活性な複合体を形成する分岐経路が発見された。この分岐した転写開始では、RNA伸長の過程で、長鎖RNA合成にいたる転写複合体と、短鎖RNAを繰り返し解離(abortive initiation)する複合体(moribund複合体と命名された)との分岐した反応経路をたどる。我々はこの機構が、少なくともin vitroでは一般的な転写開始機構であることを、証明してきた。本年の研究の目的は、この機構が、細胞内で存在することの証明である。 転写伸長因子と考えられていたGreA, GreBタンパク質が、プロモーターとRNAポリメラーゼとの2体複合体のレベルで、λP_Rプロモータにおけるmoribund complexの形成を押さえて転写を活性化させるシャペロンとしての作用を持つことを発見した。greAgreB.遺伝子の破壊株を構築したところ、この株は低温感受性で、重金属耐性が低下しており、genome arrayにより二桁以上の遺伝子の発現が野生株と異なっていることが明らかになった。幾つかの遺伝子発現を検討したところ、uncオペロンなど少なくとも3種の転写ユニットはgreA/greB遺伝子依存的に、in vivoとin vitroの両方でレベルが上昇しており、abortive initiationが低下していた。つまり、転写の分岐回路は細胞内でも存在していることが証明された。 転写の開始機構が、従来証拠無しに信じられてきた直列モデルを否定し、新しいモデルを証明し、国際的にもmoribund complexやbranched pathwayとして認知された意義は大きい。また、転写調節が転写複合体に対するシャペロン作用として理解されることの意義は大きい。
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