研究課題/領域番号 |
14038212
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石原 純夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30292262)
|
研究期間 (年度) |
2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 軌道の自由度 / 遷移金属酸化物 / 強相関電子系 / 金属絶縁体転移 / 共鳴X線散乱 / 輸送現象 |
研究概要 |
本研究では、遷移金属酸化物に代表されるスピン・電荷・軌道結合系において、特に電荷と軌道の自由度の結合・分離に焦点を当て、軌道自由度を重視する立場から新規な電子物性の解明と予測を行う。特に強い電子相関効果が顕著となる金属絶縁体転移やその近傍の金属相において、輸送現象や熱力学量における軌道揺らぎの役割を明らかにする。平成14年度の主な研究課題として、チタン、バナジウム酸化物等のt_<2g>軌道の自由度を持つ遷移金属酸化物における、軌道状態と電荷状態の研究を取り上げた。これまで多くの研究がなされてきたマンガン酸化物におけるe_g軌道の自由度と比較して、上記の物質では、その軌道縮退度、隣接サイト間の電子遷移強度、スピン・軌道相互作用の有無、電子格子相互作用の強度など様々な面で異なる事が知られている。その軌道、スピン、電荷状態を探るために、まず低エネルギー領域で有効な理論模型を導出した。この交換相互作用に関する項はスピン部分と軌道部分の積として表されるが、軌道部分はe_g電子系と異なり、サイトあたり8つの軌道演算子により表される。これを基にまず絶縁相における磁気、軌道構造を平均場近似法により調べ、強磁性相ではマクロなオーダーの軌道状態が縮退している事が明らかとなった。これは軌道の縮退度に加え、隣り合った異なる軌道間に電子遷移が許されない事に起因している。また上記の軌道演算子を用いて共鳴X線散乱の散乱断面積の定式化を行い、YT_iO_3の実験を解析する事により、これまで偏極中性子散乱実験やNMRにより指摘されているものとコンシステントであることが明らかとなった。本年度後期では更に、軌道秩序絶縁相に導入されたホールの運動について調べた。ペロフスカイト型バナジウム酸化物では温度や組成により、C型反強磁性秩序G型軌道秩序相とG型反強磁性秩序、C型軌道秩序相の2相が出現する。両者におけるホールの運動やこれにともなうスピン・軌道揺らぎについて変分法による計算を現在進めている。
|