研究課題/領域番号 |
14038218
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
長谷川 哲也 東京工業大学, フロンティア創造共同研究センター, 助教授 (10189532)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | マンガン酸化物 / スピン分極率 / 走査型トンネル顕微鏡 / 磁性 / アンドレーフ反射 / トンネル分光 |
研究概要 |
マンガン系を中心とした遷移金属酸化物におけるスピン挙動の解明を目的とし、原子レベルでスピン分極度を測定する手法の開発を行った。具体的には、超伝導体であるニオブをSTM探針として用い、アンドレーフ反射の効率から、スピン分極度の定量を試みた。 電解研磨により作製したニオブ探針の表面は絶縁性の酸化物で覆われていたため、電子照射によりこれを効率的に除去する条件を確立した。その結果、原子分解能を保ちつつ、良好な超伝導特性を示す探針を再現性良く作製するに至った。 アンドレーフ反射を引き起こすには、試料表面の極近傍まで探針を近づける必要がある。そこでまず、スピン分極度がゼロであり、かつフェルミ面付近で平坦な状態密度を持つ金を対象とし、上記ニオブ探針を用いたトンネル分光を行った。その結果、試料-探針間が比較的離れている場合には、明瞭な超伝導ギャップΔが観測され、その値は文献値と一致した。スペクトルの形状も、準粒子ダンピングを仮定したBCS曲線でフィットすることができた。針を試料に近づけると、ゼロバイアスコンダクタンスσ(0)が上昇し、実効的なバリア高さが低下しているものと考えられる。しかし一方で、Δ値も単調に減少するという予期せぬ挙動も観測された。これは、探針先端に電界が集中した効果、または近接効果により、Δが低下したものと考えられる。 さらに探針を近づけると、アンドレーフ反射の特徴であるゼロバイアスコンダクタンスピークが出現した。ただし、σ(0)値は理論的な予想値である2よりも小さく、上記の効果による影響を受けていることが考えられる。σ(0)からスピン分極率を見積もるには、現実の系に即した理論的モデルの構築が急務である。
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