研究課題/領域番号 |
14038220
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
菅野 了次 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (90135426)
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研究分担者 |
園山 範之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (50272696)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | パイロクロア / in-situX線回折実験 / 高圧単結晶合成 / 金属絶縁体転移 |
研究概要 |
スピンフラストレーション系のパイロクロア構造を持つTl_2Ru_2O_7は、約120Kで金属絶縁体転移が起こることが知られているが、この金属絶縁体転移の機構や転移点付近での磁化率の異常な振る舞いについては完全には解明されていない。その物性や転移機構を明らかにするためには単結晶の育成が必要である。しかし、Tl_2Ru_2O_7は常圧下では組成を制御することが困難である。一方、高圧合成は密封系・酸化還元雰囲気下での合成が可能なため、組成制御が比較的容易であるが、結晶の成長過程を直接観察できないことより、単結晶育成条件の探索が非常に困難であり、これまでほとんど行われていなかった。 本研究ではin-situX線回折実験を行い、圧力下での反応過程を観察して効率のよい育成条件の探索を行い、高圧下において組成が精密に制御された単結晶育成を試みた。 単結晶育成のための条件を決定するためにSPring-8のBL14B1において圧力下でのin-situ粉末X線回折測定を行い、高温高圧下における試料の状態を調べた。圧力下でのin-situX線回折実験の結果をもとに単結晶の合成を試み、NaCl, KClO_4をフラックスとして用いてこれまで得られていなかったタリウムルテニウムパイロクロアの約0.3mmの単結晶合成にはじめて成功した。またフラックスとしてB_2O_3を用いてより大型の約0.5mmの単結晶が得られた。 磁化率測定の結果、NaClフラックスで合成した単結晶は酸素欠損の存在が示唆された。B_2O_3フラックスで合成した単結晶は電気伝導度測定の結果、磁化率の挙動変化に対応するわずかな挙動変化が観測された。B_2O_3を用いて合成した単結晶についてEDX元素分析、X線構造解析を行った結果、単結晶は容器に用いた白金との固溶系を形成しており、組成は(Tl_<1.41>Pt_<0.38>)Ru_2O_<6.65>であった。
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