研究課題/領域番号 |
14038229
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
芝内 孝禎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00251356)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 高温超伝導 / 擬ギャップ / 層間トンネル抵抗 / 量子揺らぎ / 上部臨界磁場 / 量子臨界点 / 過剰ドープ |
研究概要 |
本研究では銅酸化物高温超伝導の理解に重要である、擬ギヤップのドープ量依存性について実験的に明らかにする目的で、Bi系高温超伝導体単結晶のc軸層間トンネル特性の測定を行った。特に擬ギャップが最適ドープ近辺(量子臨界点)で消失して過剰ドープ領域では通常の超伝導体となっているかどうか、解釈が混沌としている。この過剰ドープ領域の超伝導について新しい知見を得るに至った。転移温度が60K(ホール濃度0.225)の良質な単結晶の作製に成功し、米国立高磁場研(NHMFL)の60テスラパルス磁場を用いて低温・高磁場でのc軸トンネル抵抗の振る舞いを明らかにした。c軸トンネル抵抗から、1)抵抗が出現する磁場、2)抵抗がピークを持つ磁場、3)擬ギャップが完全に消失する磁場をそれぞれ決定し、その温度変化を求めた。2)のピーク磁場については、超伝導が消失する上部臨界磁場の下限と考えることができるが、低温極限ではこのピーク磁場と擬ギャップが閉じる磁場がおよそ70テスラにほぼ一致して収束することがわかった。それに対し、抵抗が出現する磁場は低温極限でも30テスラ程度であり、非常に大きな磁場範囲において、ギャップが存在しつつ有限抵抗があるということが明らかになった。この結果は、通常の2次元超伝導体における量子揺らぎの理論的な予測から比ベ、非常に大きいという異常なものである。 このように過剰ドープ領域においても、高温超伝導の異常性はかなり残っており、むしろ擬ギャップが超伝導領域全般を支配していると考えた方が実験結果を理解しやすいという結論が得られた。この結果は高温超伝導の理解に重要なものであると考えている。
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