研究課題/領域番号 |
14038230
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
播磨 尚朝 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (50211496)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 強相関電子系 / 遷移金属酸化物 / パイクロア格子 / 電子構造 / 超伝導 / 磁性 / 計算物理 / 物性理論 |
研究概要 |
パイロクロア型遷移金属酸化物の電子構造を系統的に理解するために、超伝導物質であるCd_2Re_2O_7を中心に、Cd_2Os_2O_7やその他のパイロクロア化合物の電子構造計算を局所密度近似に基づくFLAPW法を用いて行った。この系は金属になる場合は、A_2B_2O_7のBサイトに入った遷移金属のdバンドが伝導帯となるが、ReやOsの様な5d遷移金属の場合には、伝導帯に対するスピン軌道相互作用の影響は大きく無視する事は出来ない。また、Bサイトのパイロクロア格子を稜線で繋ぐ位置にある酸素原子と伝導帯の混成は大きく、この酸素位置を変えると電子比熱係数の値が大きく変わる事が解った。さらに、系統的な電子構造計算から、Bサイトのdバンドに対する局所的な結晶場の効果はあまり大きくなく、結晶場分裂にはAサイトの電子との混成が大きく関与していることが解った。この点、局所的な結晶場によりe_gバンドとt_<2g>バンドの分裂がはっきりしているスピネル型の化合物の伝導帯の性質とは異なっている。Cd_2Re_2O_7は2回の構造相転移を経て超伝導となる。低温の構造が未確定であるが、対称性の低下から定性的なバンド構造の変化に対する議論を行った。また、構造相転移後に詳細に報告されているNQRの実験結果と比較する目的で、高温相での電場勾配の計算も行ったが、構造相転移後における電子構造の具体的な変化に関する議論は今後の課題として残された。最近、Y_2Nb_2O_7においてNbサイトあたり一個のd電子をもちながら、非磁性の半導体となると報告されている。類似物質の電子構造計算からこの系はd電子が磁性を持たない場合は金属的であると予想され、局所密度近似を超えた電子相関の重要性を示唆している。したがって、LDA+U法による電子相関を取り入れた電子構造計算を行う必要がある事がわかった。
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