研究概要 |
Caを希土類(RE)サイトに添加したEuBaCo_2O_<5+y>およびDyBaCo_2O_<5+y>について、酸素の非化学量論性を制御した試料を作成し、金属-非金属転移に対する効果を検討した。また、RE-Ba-Co-O系の新規化合物、Ba(Co, RE)O_<3-x>およびREBaCo_4O_<7-x>を合成し、その結晶構造・非化学量論性・磁性を明らかにした。 (1)EuBaCo_2O_<5+y>およびDyBaCo_2O_<5+y>では、過剰の酸素組成およびCa添加量の増大が4価のCoの組成を増大させる。4価のCoは低スピン状態にあり、t_<2g>バンドのアクセプターとして寄与すると期待された。実際に、金属-非金属転移温度の低下、非金属温度領域でほとんど温度依存しない電気抵抗率、がみられた。 (2)元素の周期表におけるGdからLuまでの希土類元素について、立方晶ペロブスカイト型構造を有するBa(Co, RE)O_<3-x>相を合成した。REの固溶範囲は最大10-50%であり、REのイオン半径の増大とともに固溶範囲は減少する。また、Coの原子価は3価に近く、酸素組成はx=0.5近傍である。電気伝導性は示さない。30K以下で反強磁性的な磁気秩序を示すが、CoとREのランダム配列によると考えられる熱履歴を示す。 (3)DyからLuまでの重希土類元素を含む六方晶新規化合物REBaCo_4O_<7-x>を合成した。Coの酸素配位がすべて四面体型であり、Coかごめ格子と三角格子が積層し、スピネル構造に類似した特異な構造を有す。また、酸素組成x=0の時、Coの形式原子価は2.25であり、混合原子価に由来すると考えられる半導体的電気伝導性を示す。磁気的には、Co格子が60K以下で反強磁性秩序を示すが、希土類イオンの磁気モーメントとCo格子の相互作用が示唆される。また、酸素組成の非化学量論性も示し、電気伝導性との相関が興味深い。
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