研究課題/領域番号 |
14038236
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
森 茂生 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (20251613)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 遷移金属酸化物 / ローレンツ顕微鏡 / 相分離 / 巨大磁気抵抗効果 / 金属-絶縁体転移 / 強磁性磁区構造 / マンガン酸化物 |
研究概要 |
強相関電子系物質である遷移金属酸化物は、電子が持つ内部自由度である電荷、軌道、スピンに加えて、格子系との強い相互作用により、金属-絶縁体転移、巨大磁気抵抗効果、電荷・軌道秩序構造などの種々の特異な物理的特性を示す。最近、マンガン酸化勿で見出された電子の局在性に起因した電荷秩序構造と電子の遍歴性に起因した強磁性金属状態の共存状態(相分離状態)が見出され、巨大磁気抵抗効果や金属-絶縁体転移と強く相関していることが明らかになってきている。本研究では、マンガン酸化物での相分離状態および強磁性磁区構造に関するナノ構造について低温ローレンツ顕微鏡を用いて研究を行った。以下に今回行った研究で得られた主な研究成果を示す。 (1)(Nd_<1-x>Sm_x)_<1/2>Sr_<1/2>MnO_3(x=0.875)の電気抵抗の温度依存性を測定した結果、約100K(Tc)において急激な電気抵抗の減少を伴う絶録体-金属転移の存在を見出した。この絶縁体-金属転移に伴う強磁性磁区構造の形成過程について、ローレンツ顕微鏡法を用いて調べた結果、転移温度直上(T>Tc)において、約10-20nm程度の大きさからなる特徴的な明暗のコントラスト(磁気ナノドメイン)が観察された。また、この磁気ナノドメインは時間的に生成・消滅している(揺らぎ状態)ことを見い出した.この結果、マンガン酸化物で見られる金属-絶縁体転移は、転移温度直上に存在する強磁性状態と電荷秩序構造の揺らぎ構造と強く相関していることが明らかとなった。 (2)(La_<5/8-x>Pr_x)Ca_<3/8>MnO_3での相分離状態におげる強磁性磁区構造観察を行い、ミクロンサイズで強磁性金属状態と電荷秩序構造が共存していることを明らかにした。また、Pr組成がx=0.375試料において、強磁性金属状態にはブロッホ型の強磁性磁壁を持つ180°磁区構造と数百ナノメートルサイズのストライプ状の磁区構造が存在することを見出した。さらに、磁区構造の温度変化を調べた結果、強磁性転移温度(Tc=100K)より高温において20-30nmサイズの大きさから成る強磁性ナノ分域が存在し、電荷秩序構造と強磁性金属状態がナノメートルサイズで共存している(電子相分離)ことが明らかとなった。
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