研究課題/領域番号 |
14038241
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 特殊法人日本原子力研究所 |
研究代表者 |
堀田 貴嗣 特殊法人日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 副主任研究員 (00262163)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | マンガン酸化物 / 超巨大磁気抵抗現象 / 軌道秩序 / E-タイプ反強磁性 / A-タイプ反強磁性 / 金属強磁性 / 金属・絶縁体転移 / ヤーンテラー歪 |
研究概要 |
マンガン酸化物における複雑な電荷・スピン・軌道秩序構造の様相は最近の実験および理論研究によって急速に理解されるようになってきたが、一方で、マンガン酸化物の相図は我々が想像するよりも遥かに豊富であることもまた明らかになってきた。たとえば、構造がよくわかっていると思われていたRMnO_3(Rは希土類イオン)において、最近、新しい磁気構造が見つかっている。R=Laの場合はA-タイプと呼ばれる磁気構造であることは古くから知られているが、R=Hoの場合に、E-タイプとよばれる奇妙なスピン構造が発見された。これは、スピンがジグザグ状に強磁性に配列し、それが反強磁性的に結合したものである。このような構造を明らかにするために、ヤーンテラー歪と結合した軌道縮退二重交換模型を解析した。まず、2次元の4×4格子において、E-タイプ構造が相図の広い範囲に現れ、λ=0(λは電子格子相互作用)でも出現することを見出した。1次元的な強磁性ジグザグ経路においてホッピングの方向が変わると、異なる軌道間の跳び移り積分の位相も変化し、ジグザグに応じた周期ポテンシャルが自然に現れ、それによって大きなバンドギャップが生じるために、E-タイプのジグザグ構造が安定化されるからである。3次元の4×4×4格子においても計算を実行したところ、やはり相図の広い範囲でE-タイプ構造が現れることから、2次元の特殊性ではないことを確認した。3次元の場合は、現実的な強結合の値λ=1.5付近でA-タイプとE-タイプの反強磁性相が隣接しているが、これは実験でみられるR=LaからR=Hoへの変化に対応すると考えられる。E-タイプ相はλ=0でも絶縁体であるが、弱結合領域において強磁性金属相と隣接している。なお、x=0における強磁性金属相の存在については、運動量空間における詳しい計算によって少数系の特殊性ではないことを確認した。つまり、圧力を印加することによってE-タイプ反強磁性相から強磁性金属相に変化させることができれば、ホールをドープしなくても超巨大磁気抵抗現象が現れる可能性が考えられる。
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