研究課題/領域番号 |
14042208
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邉 俊樹 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (00272526)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 造礁サンゴ / 共生藻 / 性成熟 / 海洋汚染 / 有機スズ / トリブチルスズ / 卵黄タンパク質 / ビテロジェニン |
研究概要 |
1.造礁サンゴの卵タンパク質をコードするcDNAのクローニング:前年度に、雌雄同体種シナキクメイシの卵に含まれる主要タンパク質の1つ、FcEP-1をコードするcDNAのクローニングと全一次配列を推定したのに続き、今年度は雌雄異体種アザミサンゴの卵に含まれる主要タンパク質の一つ、GfEP-1のcDNA断片のクローニングに成功した。FcEP-1とGfEP-1の間に配列の類似は見られず、各々脊椎動物のビテロジェニンの異なった部位と配列の類似が見られた。得られたcDNA配列を基にプライマーを設計し、アザミサンゴの雌4個体と雄6個体(放精放卵の約1月前に採取したもの)におけるGfEP-1 mRNAの発現を調べた。すべての雌個体において高レベルの発現が見られ、また雄の6個体で非常に低いレベルの発現が見られたものの雌との差は有意であった. 2.コモンサンゴに対するTBTの影響:TBTを1μg/L含む海水中でアザミサンゴを5週間飼育してその影響を調べた。コントロールのサンプル(TBTを入れないもの)では、ポリプの伸長、呼吸、褐虫藻の密度および光合成活性の点で実験の前後で有意な差は見られず、用いた実験条件がサンゴにとって大きなストレスでないことが示された。TBTに曝露した個体では、曝露開始約1週間後から一部のポリプで触手の伸長が見られなくなり、健康状態の悪化が示された。2週間後には全てのポリプで触手の伸長が見られなくなった。3週間後には一部でサンゴ組織の骨格からの剥離が観察されはじめ、5週間後にはサンゴ組織は全て死滅した。サンゴ組織が骨格から離脱する前には、褐虫藻密度、呼吸量および光合成活性の顕著な減少は見られなかった。これらの結果から、1μg/LのTBTへの曝露では、コモンサンゴ組織の死滅は白化(共生藻の離脱または死滅)を介して起こるのではないことが示された。また、アザミサンゴを用いた予備的な実験でも同様の結果が得られた。
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