研究課題/領域番号 |
14044037
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松本 剛 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50311717)
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研究分担者 |
大木 靖弘 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10324394)
巽 和行 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (10155096)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | カルコゲン / ヒドロゲナーゼ / 水素分子活性化 / 架橋ヒドロキシル基 / ゲルマニウム / ルテニウム / ヒドリド錯体 / メタラサイクル / 付加環化 / アルキンチオラート / ロジウム / イリジウム / ベンゾチオフェン / カップリング |
研究概要 |
水素分子を活性化するヒドロゲナーゼは、2つの鉄またはニッケル-鉄がチオラートで架橋された構造をとっており、その酸化還元によって水素分子とプロトン間での変換反応を触媒し、嫌気性細菌のエネルギー代謝に重要な役割を果たしていることが知られている。 我々は、高周期14族元素であるゲルマニウムと種々の遷移金属がカルコゲン原子で架橋された錯体の構造や反応性を検討し、ゲルマニウムビスカルコゲノラート[Dmp(Dep)Ge(S)(OH)]^-が配位したカチオン性ルテニウム-ゲルマニウム2核錯体がヒドロゲナーゼ様の反応を行うことを見いだした。 本錯体と水素を反応させると、水の脱離とともにゲルマニウム-ルテニウム問に架橋ヒドリドを有するカチオン性錯体が定量的に得られた。架橋ヒドロキシル基を鍵とするこのような水素分子活性化反応はこれまで例がなく、興味深い。また本反応は可逆であり、得られた架橋ヒドリド錯体に水を加えて加熱すると水素の発生とともに再び架橋ヒドロキシ錯体が生成した。 架矯ヒドリド錯体のヒドリド配位子は酸性度が高く、塩基を加えると脱水し、中性の複核錯体が得られた。この反応も可逆であり、この錯体にH(Et_2O)BAr^F_4を作用させると定量的に架橋ヒドリド錯体が生成した。すなわち、架橋ヒドロキシル基を有する錯体は最終的に水素分子を2つのプロトンに変換したと考えられ、先に述べたヒドロゲナーゼ反応のモデルとして、これまで提唱されていないタイプの反応機構をを示唆する結果を与えた。 以上のように、カルコゲン架橋ゲルマニウム-ルテニウム複核錯体は、pHと水素および水の濃度で相互変換する系であり、環境によって反応性を変化させる酵素反応のモデル、特にヒドロゲナーゼのモデル反応として極めて興味深い。
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