研究概要 |
メタラサイクル錯体は,アセチレン類あるいはジイン類などの環化三量化反応の重要な中間体(活性種)として知られており,さまざまな金属錯体が単離され構造解析ならびに反応機構が明らかにされている。本研究では,ビスオキサゾリニルピリジン(PYBOX)と[Rh(Cyclooctene)_2Cl]_2との混合物が極めて高い反応性を示し塩化メチレンが酸化的付加した事実をふまえ、アセチレン類の金属状での環化付加の可能性を考え検討したととろ,安定な新規ロダサイクル錯体を単離することでき,構造解析とともに触媒活性を検討した。 過剰のアセチレンジカルボン酸エステルを加えると,橙色の錯体を得ることできた。安定なロジウム三価錯体であることを解明した。この錯体は,安定であり室温付近ではアセチレン類の環化三量化反応の触媒として働かない。次に,ジインを用いて錯体形成を検討したところ良好な収率でロダサイクル錯体を得ることができた。この錯体を過剰のフェニルアセチレンと反応させたとごろ80〜120℃において環化三量化物を与えた。また,非対称な置換ジインを用いて検討したとろこ立体選択的に反応が進行し,フェニル基で置換されたメタラサイクル末端がエカトリアル位となることが明らかになった。ロダサイクル生成の機構も推定した。これらの構造は,X線結晶解析によって行った。ジイン錯体を用いて触媒的な環化三量化反応を検討したところ,70℃以上で反応が進行し三量化物を与えた。非対称なジインでは,錯体は立体選択的であったが環化三量化反応での選択性はなかった。ジインの置換基,アセチレンの置換基を変更して立体選択性の向上する系をした。また種々の置換基を有するPyboxを用いることによる立体選択性の変化,不斉誘導を検討できる系の探索を行った。
|