研究概要 |
2,3,5,6,7,8-ヘキサシラビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル基(以降かご基と呼ぶ)を液晶分子のコアとして活用することを指向して,かご基置換ベンゼンを溶媒テトラヒドロフラン中-42℃において超塩基で処理して橋頭位をメタル化したのち,ハロゲン化アルキルを同温度で加えてそのまま室温まで昇温し,1-アルキル-4-アリールかご分子を収率よく合成した。DSC測定により,アルキル基の炭素数nが6以上のアルキル置換体は液晶性を示さないが,n=0〜5では中間相が存在することを見つけた。また,n=1〜5のアルキル置換体には偶奇効果が認められ,奇数のものは偶数のものに比べ中間相の温度範囲が広いことがわかった。メチル体(n=1)の偏光顕微鏡観察すると,等方性液体を冷却すると六角形組織が現れ,直交ニコル下で光らないことからホメオトロピック配列であると判断した。さらに冷却を続けると六方向に組織が伸長して雪印組織に成長した。テクスチャーからC6対称軸の存在が確認できたことと,X線回折の結果から,メチル体の中間相はヘキサゴナルカラムナー相と同定した。一方,ペンチル基置換体については,X線回折の結果から,レクトアンギュラーカラムナー相と同定した。いずれの場合も,棒状分子であるにもかかわらず,かご基置換分子がカラムナー相を発現することは注目に値する。
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