研究概要 |
水素結合と電子移動に基づく特異な物性を発現する分子集合体の構築を目的として大環状ポリイミダゾールを分子設計し、各種遷移金属を用いたホモカップリング反応を検討することにより大環状体の合成中間体である新規な4,4'-ビイミダゾール,2,2',4',4'',2'',2'''-クワテルイミダゾール,4,4',2',2'',4'',4'''-クワテルイミダゾール,4,4',2',2'',4'',4''',2''',2'''',4'''',4'''''-セキシイミダゾールの合成に成功した。イミダゾールとチオフェン環から構成される大環状体の2種類の合成中間体は、チオフェン誘導体とイミダゾールのヨウ素置換体を用いて合成した。また、これまでに合成した各種オリゴイミダゾール類の物性についての知見を得ることを目的として、これらの分子を電子ドナーとして用いた電荷移動錯体の合成を行った。その結果、TCNQ錯体が10^<-1>Scm^<-1>程度の高電導性を示すことを見いだした。さらに、これらを配位子として用いた集積型金属錯体の合成及び構造解析を行った。その結果、例えば4,4'-ビイミダゾールの初めての金属錯体である銅(II)錯体の合成に成功し、アミノ基が水分子または塩化物イオンを介したN-H…O…H-N、N-H…Cl…H-N型水素結合により無限一次元鎖を形成していることを明らかにした。
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