研究概要 |
申請者らは100%のα選択性でL-ラムノシドを合成できる簡便な手法-熱グリコシル化反応-を開発し、L-ラムノースの鎖状六量体を高収率に合成し,これを環化させて、初めてのL-系列環状オリゴ糖を合成し、α-シクロアワオドリンと命名した。その6位のメチル基に反応触媒活性を有する官能基を導入して、包接された特定のゲスト分子のみを基質とする、選択的な触媒反応を開発しようと計画した。アグリコンの大きさや取り込まれ易さによって反応速度が異なるならば、アグリコン選択的な人工グリコシダーゼが創製できることになる。本年度はまず,ラムノース三量体を一気に環化反応まで実現するルートを開拓して,100ミリグラムのシクロアワオドリンの合成に成功し,シクロアワオドリンの抱接の化学を大きく展開することが出来た.さらに酸性残基を有するシクロアワオドリン類(以下酸性シクロアワオドリン)の合成を検討し,Schmidtのイミデート法によるグリコシル化反応を改良して,立体選択的ラムノシル化反応を開発し,基本骨格の合成に成功した.これまで知られているエキソ型のグリコシダーゼのすべては、その末端の糖の種類とグリコシル結合の立体化学を認識するものがほとんどで、アルコール側を認識する酵素は未だ知られていない。今回、申請者らが設計した環状分子酸性シクロアワオドリンがグリコシダーゼ活性を示すことが証明できれば、その最初の例となり,同時に新しいタイプのグリコシダーゼとして糖鎖分析の分野に貢献できると考えている
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