研究概要 |
互いに相溶しない流体(高分子)を混合した非相溶混合流体は単一流体と異なる特異なレオロジー的性質を持つことが知られている.申請者らはこれまでにせん断流下においてこの非相溶混合流体に電場を印加すると,ドロプレットが分散した構造からネットワーク構造への変化が可逆的に起こることを初めて見出している.この現象はせん断流のみまたは電場のみによっては起こらず,それらが適当な大きさの時に発現するという点で,2つ以上の外場が複合的に関与する非相溶混合流体における新しいタイプの構造変化と考えることができる. 本研究の目的は,流動下,電場下における非相溶混合流体の時空構造とその物理的機構を明らかにすることである.さらに,この結果を基に非相溶混合流体の時空構造の制御および新しい構造を持った材料の創製も目指す. 本年度は上と下の回転板が互いに逆方向に回転するせん断印可葬置を製作した.これにより,2枚の円板の間に平均速度ゼロの面ができるので,この面を共焦点レーザー顕微鏡により観察することにより,今までにない精細な画像を得ることができた.定常状態において連続する500枚の画像を取り込み,各画像のフーリエ係数を求め,さらに異なる時刻でのフーリエ係数の相関関数を計算した.その結果,ドロプレットがネットワークになる付近で緩和レートが極大を取ることが明かとなった.
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