研究分担者 |
福島 靖孝 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (10150004)
岩見 基弘 岡山大学, 理学部, 教授 (80029123)
中野 逸夫 岡山大学, 理学部, 教授 (90133024)
木下 明将 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, VBL研究員
|
研究概要 |
Si半導体に替わる高効率の半導体大電力素子および高出力の半導体高周波素子として,GaAs,GaN,SiC,Diamond等さまざまな半導体が研究されている。SiCはSiと比べて禁制帯幅が2〜3倍大きく,絶縁破壊電界が一桁大きい。最近ではSiCウエハが市販されるようになり,多くのSiCパワーデバイスが試作報告され耐電圧は年々向上している。近い将来良い品質のSiCが作成され,Siに代わる半導体として利用されると考えられている。本研究では,SiC半導体を放射線検出器として応用するための基礎的な研究を行った。 原子力研究所高崎研究所の施設で,p型6H-SiCエピタキシャル基板に表面からP(リン)をイオン注入することによって作成されたpn接合型ダイオードを作成した。電気的静特性の測定とα線・Ultra-Violet(UV)光を照射した時の応答を観測した。電気的静特性として,電流-電圧特性(I-V特性)からIdeality Factor(η)と漏れ電流を評価し,静電容量-電圧(C-V特性)特性から空乏層の幅と不純物濃度の量を評価した。α線・UV光(100Hz・200nmパルス)測定では,逆バイアスと照射によって得られる信号の変化の関係を,逆バイアスと空乏層幅の関係と比較した。UV光を用いることでSiC内部の評価が可能であることが示された。さらに電荷収集効率の評価を行い,良好な結果を得た。 SiC半導体検出器の耐放射線特性の測定を行った。γ線(150Mrad)とβ線(1x10^<15>/cm^2)を照射した。I-V測定から漏れ電流の増加が確認された。またC-V測定からアクセプタの減少が見られた。α線測定による電荷収集効率の評価から,拡散長の変化が少ないことが分った。Si-PIN光ダイオードと同じ放射線環境で比較した結果,SiC半導体検出器にSiに比べ優位な放射線耐性があると認められた。
|