研究課題
特定領域研究
前年度までにレーザー冷却^<87>Rb原子を用いた原子干渉計による重力加速度gの測定原理の検証を行ってきたが、本年度は主にこの重力加速度gの測定感度および精度をさらに向上するための様々な改良を行ってきた。まず測定感度を大きく向上するため、重力との相互作用時間を長くするため、原子泉法を導入して原子を上方に打ち上げることにより相互作用時間を従来の10msから最大100ms程度まで上げることが可能になった。また干渉信号のSN比を決めている様々な要因を特定して検出感度向上を行い、重力加速度の検出感度は約2×10^<-6>を得ることができ、この検出感度を主に決めているのは床からの振動であることが分かった。この後、低周波域のさらなる防振を行って原子泉法を組み合わせることによりこの装置を用いて10^<-8>程度まで検出感度を向上できる可能性が見出された。アトムチップを用いたボーズ凝縮(BEC)原子による原子干渉計の開発を行い、光定在波によるブラッグ回折を用いて原子のビームスプリッターを実現してチップ上の原子干渉計を実現した。この干渉計の干渉フリンジのコントラストの低下をもたらす様々な要因を解析し、これが主に原子間相互作用によるものであることを実験および理論的な解析により明らかにした。これによって原子間相互作用を考慮することによりチップ上のBEC原子を用いた原子干渉計が十分使い物になることが明らかになった。
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