研究課題/領域番号 |
14048101
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
太田 幸雄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00100058)
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研究分担者 |
塩原 匡貴 国立極地研究所, 南極圏環境研究センター, 助教授 (60291887)
北田 敏廣 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40093231)
今須 良一 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (40334255)
向井 苑生 近畿大学, 理工学部, 教授 (00097411)
早坂 忠裕 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (40202262)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 大気エアロゾル / 地球冷却化効果 / 東アジア / 光学特性 / 硫酸エアロゾル / black carbon / 立坑による雲生成実験 / 放射強制力 / 直接効果 / 間接効果 / エアロゾルの光学特性 / エアロゾルの化学組成 / 人工衛星リモートセンシング / 地球規模エアロゾル分布 / 大気大循環モデル / 地表気温変化 |
研究概要 |
本年度は、観測・計算を継続すると共に、これまでの結果を含めたまとめを行い、以下の結果を得た。(1)観測船「しらせ」により日本周辺海域での光学特性観測を行い、太平洋遠方海域からのエアロゾルでは単一散乱アルベドは0.98以上、大陸内部に起源を持ちその後沿岸部を通過中に汚染されたエアロゾルでは0.94〜0.98、中国東北部を通過後日本南岸に到達したエアロゾルでは0.85〜0.94の値を得た。また小笠原父島において光学特性の経年観測を行い、春〜秋には単一散乱アルベドは0.98以上であるが、1月には0.91程度にまで下がることを見出した。(2)ADEOS/POLDERの偏光輝度データ解析から1997年と2003年の4〜6月の光学的厚さの分布を求めた。その結果、東アジア域およびアフリカ中南部域にエアロゾルの高濃度域が存在していることを明らかにした。(3)中国大陸における日射観測結果の解析から、1960〜1990年までの大気エアロゾルの光学的厚さの変動を求めた。1980年過ぎまでは中国全体で増加傾向がみられるが、その後1980年代後半からはあまり大きな変化は見られない。さらに中国における1961〜2000年までの日射量の長期変動を調べ、1961年から1990年までは中国のほぼ全域で日射量が減少しているが、その後増加に転じていることを見出した。(4)鉱山の立坑を用い、立坑の底部から硫酸エアロゾルあるいはNaClエアロゾルを注入し、立坑内を上昇する気流による雲粒生成実験を行い、実規模での雲粒生成能について検討した。その結果、注入したエアロソル数(雲核数)の増加に伴い、生成される雲粒数が増加する結果が得られた。(5)これまでに観測されたエアロソルの光学・化学特性値、衛星観測から得られた光学的厚さの広域分布および新たに作成された土壌粒子の地表面からの巻き上げによるフラックス評価式などを大気大循環モデルに導入し、エアロゾル各成分からの寄与を総計した4月の月平均の放射強制力の分布を算出した。その結果、放射強制力の値は、中国の南部海岸域において大きな負の値を持ち、2000年には上海付近において-50W/m-2という強制力を示していること、また、2000年から2021年にかけての放射強制力の変化は、black carbonの変化パターンを特に反映して、中国北部から日本にかけて大気を冷却する効果(より負の放射強制力が強まる傾向)が大きくなるが、一方、上海付近の南部においては放射強制力の変化量は-2〜0W/m-2と、ほとんど変化が見られていないという結果が得られた。これは、東アジア地域全体での平均値のみで気候影響を議論するのではなく、この領域内においても、地域ごとに影響の評価を行う必要であることを示唆している。
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