研究概要 |
大気中および高層大気中を想定した減圧場における,大気汚染ガス(SO_2,NOx含有)からの紫外光反応による,ナノ粒子(二次粒子)の発生,粒子成長観察用のモデル実験装置の立ち上げ,光反応過程のシミュレーションによる検討を行ない,以下の研究成果を得た。 1.batch型リアクタシステムを用いて,主にSO_2の光反応特性およびその速度の検討を行った。その結果,SO_2の消失速度はSO_2の濃度に近似的に一次であり,光反応速度は照射する紫外線の強度に比例することが実験的に確かめられた。 2.フロー型実験システム立ち上げ準備として10〜200nmの粒子径計測に適したセミロング減圧型微分型静電分級器(LPDMA),ファラデーエレクトロメーターを新たに導入し,既設の1〜50nmの計測に適したナノLPDMAとのクロスチェックを行い,それらの粒径測定特性,サイズ選別特性を実験的に評価し,1〜200nmレンジの粒子の粒径測定に充分使用可能であることを明らかにした。 3.つぎにフロー型実験システムを用いて,SO_2から発生する二次粒子のサイズ分布の計測等を行った。その結果,SO_2濃度を10 ppm,H_2O濃度を500〜20000 ppm(1.16〜46.4 %Rh)まで変化させた場合,発生した硫酸エアロゾル粒子サイズは4nmから80nm程度の範囲に分布し,ピーク径で20〜30nmの範囲であった。 4.その際の,粒子の発生量は水分濃度の上昇に伴い増加しているが,サイズは水分濃度の影響をほとんど受けていないことを明らかにした。 5.ナノ粒子高効率単極荷電装置(既設)の開発・実験的検討を進め,低濃度粒子の計測を可能とした。
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