研究課題/領域番号 |
14048209
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
赤木 右 東京農工大学, 農学部, 教授 (80184076)
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研究分担者 |
五十嵐 康人 気象庁, 気象研究所, 主任研究官 (90343897)
片山 葉子 東京農工大学, 農学部, 教授 (90165415)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2003年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 自由対流圏 / エアロゾル / 化学成分 / 富士山山頂 / 観測 |
研究概要 |
自由対流圏は大気重量の70%を占め、大気境界層に比べて、低温、低湿で風速が大きく、長距離輸送など大気の物質循環にとって重要な場である。しかしながら、観測手法が主として飛行機観測であるため、化学成分に関する連続的な情報は少ない。富士山は孤立峰であることや、山頂の高さに比べて体積が小さいことなどから、夏を除いてほとんどの期間、山頂は自由対流圏にあると考えられ、そこで降水やエアロゾルの化学成分、ブラックカーボン、COS、ラドン濃度などの項目について観測を行った。今年度は特に、2002年で欠けていた初夏のデータを取るために、今年度は5月26から6月13日にかけて集中観測を行なった。 方法は前年度と同じであり、得られたデータの量も多い。 全体を比較すると山頂の降水は太郎坊の降水に比べて化学成分濃度が低く、pHが高く、きれいな降水であることがわかる。細かく見ると、6月4日から5日の降水は、山頂ではNa^+,Cl^-イオン濃度が高くpHも高く、海洋性の気塊の影響を強く受けていることが示唆される。一方、太郎坊の降水に含まれるこれらのイオン濃度は平均的な値を示しており、海洋性の気塊の影響は山頂の降水に限られたと思われる。気象要素と合わせて検討を続ける必要がある。 COS濃度は山頂と太郎坊の濃度変化は同調しているように見え、つねに山頂の方が高濃度を示した。富士山頂のエアロゾルに含まれるBCの発生源を同定するために、父島で採取され、BC濃度の分かっている試料について、炭素同位体比の測定を行ったところ、BC濃度と同位体比の間に明確な関係が得られた。 これまでに得られている観測結果だけからも、自由対流圏の連続観測プラットフォームとしての富士山頂の利用が有用であることがわかったが、今後、航空機観測や離島観測などのデータと比較検討することで、この地点の重要性がますます明らかになることと考えられた。
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