研究分担者 |
原 宏 東京農工大学, 農学部, 教授 (60106226)
村山 留美子 京都大学, 工学研究科, 助手 (20280761)
馬 昌珍 福岡女子大学, 人間環境学部, 助教授 (80405555)
平木 隆年 兵庫県立健康環境科学研究センター, 大気環境部, 主任研究員
玉置 元則 兵庫県立健康環境科学研究センター, 大気環境部, 部長
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配分額 *注記 |
92,100千円 (直接経費: 92,100千円)
2005年度: 14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2004年度: 16,100千円 (直接経費: 16,100千円)
2003年度: 26,600千円 (直接経費: 26,600千円)
2002年度: 34,700千円 (直接経費: 34,700千円)
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研究概要 |
大気中に排出された二酸化硫黄や窒素酸化物などにより,霧や雨は酸性化するが,湿性沈着は最も重要な大気の浄化過程である。本研究では,霧の生成時や降雨時にエアロゾルやガスを取り込む湿性沈着機構を解明し、また観測データに基づきアジア地域における酸性沈着量を推定・評価した。その主な結果は, 1.霧粒や雨滴などの液滴粒子を個別に捕集,分析する技術を開発し,Micro-PIXE,大型放射光SPring-8を応用し,固形化液滴粒子一粒ごとの化学成分分析を可能とし,降雨粒子の性状特性やその変質過程を明らかとした。液滴径が小さくなるほどイオン濃度は高くなるが,これは液滴の大気中存続時間や蒸発速度などに依存するなど,実験結果を基に霧や雨滴の湿性沈着機構の解析を行い,また湿性沈着のモデル化を行った。 2.六甲山にて,霧やエアロゾルの粒径別化学成分濃度,ガス成分濃度等を同時に測定し,各種成分の化学物質収支からレインアウト機構を調べた。汚染物質の霧水への吸収量は硝酸系が約30%,硫酸系が4%,粒子の除去係数は化学種により異なり,0.1〜0.34の範囲でカルシウム,硫酸ナトリウムイオンが大きかった。 3.日本及びEANETデータを用い,酸性雨・酸性沈着特性を調べた。東アジア地域では非海塩性硫酸イオンの沈着量が欧米に比べて大きいが,これは大気中の硫酸塩濃度が高いことに加え降水量が多いことによる。中国では非海塩性硫酸イオン濃度が他地域より桁違いに高く,また硝酸濃度より高く,硫酸の酸性沈着への寄与はきわめて大きい。日本では夏に太平洋岸,冬に日本海側で酸性沈着が増大する。 4.環境保全や安全性を確保する目的から,霧の発生を抑制し霧を消滅する消霧装置を開発し,室内・屋外実験により霧の消滅機構を調べた。開発した消霧装置は,50m区間の視程を30%程度改善可能であった。
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